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漢文と数学のとんでもない関係性。実は英語の前置詞もそうですが・・・。ー高岡の個別指導塾チェリー・ブロッサム


Gerd AltmannによるPixabayからの画像

今朝、昨日書いた記事に、尊敬する方から、コメントをいただいているということに気付きました。

そうそう、そうなんです!
漢文と数学は繋がっているのです。

昨日の記事は、自分の、生徒さんの疑問にきちんと答えられているか?という内容だったのですが、それもそうなのですが、漢文には確かに数学的要素があるのです。そのことに気付いたのは随分前です。かつて予備校の漢文のクラスで、あまり成績の良くないクラスだったのですが、何とかセンター試験で点数を取ってきてほしくて、ある日、これはもう、そう思ってもらって、勉強する気になってもらおう!くらいの気持ちだったのですが、

漢文って、理系の頭に合ってるよね!

と話したのでした。
私は、そのクラスのメンバーが大好きでした。

素直なのでしょう。
何かのアンケートに、

漢文は、理系科目だと思います!

なんて書いてくれて、嬉しかったのです。

このクラスには、当時私がハマっていた、シェークスピアの『ヘンリー五世』の中の、アジャンクールの戦いの、イギリス軍劣勢の対フランス戦でのヘンリー五世の演説の部分について語り、

少数派でも勝つ!劣勢でも勝つこともある!今からでも漢文は間に合う!

と演説をぶったのでした。

素直な彼らのうちの一人は、いきなり世界史の資料を取り出して、アジャンクールの戦いを調べ始めました。

明けた年のセンター試験の漢文で、彼らはみんな満点をとって来てくれました。
その年の漢文は、確かに今検討すると易しかったという面もありましたが、それでも、彼らが満点をとって来てくれたことが、本当に嬉しかったのです。

物理の先生が、

先生のおかげやな。

と先生に言ってくださったことを思い出します。

本当は、彼らの素直さの勝利だと思っているのです。

それから、漢文は、ご存じの方も多いでしょうけれど、英語とも密接に関係があります。
中国語の語順は日本語とは違いますが、シンプルで論理的な英語とは同じです。
この夏、富山大学で英語で経済学の原書を読む講座の中で、先生がおっしゃったことが大変におもしろかったのですが、

英語は習得するのは簡単な反面、フランス語やドイツ語のように、男性名詞、女性名詞、中性名詞などがない分、情報量が限られるので、翻訳するときには難しい面があるんですよね・・・。

そのお言葉は、目から鱗のような話で、なるほどなあ・・・、と感心したのでした。

ところで、漢文には置き字というものがあります。
読まないのですが、主に助詞の役割をしてくれるのです。
特に古文での、接続助詞のような役割をすることも多いのですが、指導していて(高校時代はそうそう真面目に漢文をやっていなかった。それより評論が大好きだったのですが。)、

めちゃくちゃ前置詞やん!

と気付き(その前に気付けよ!という話ですが。(笑))、それを指導に使い始めました。

特に面白いのは、「於」。
この人は(国語の教師は擬人化するのがめっぽう好きならしく、ご多聞に漏れず私もですが、古典文法の動詞、助動詞なども、「古典文法界のスーパースター」、とか、「トップエリート11人集団」、などと表現してしまいます。(笑)」)、fromにもなれば、thanにもなれば、forもあるし、atもbyまであります。なんにでもなりそうな人なのです。
たかが「於」一字は、されど「於」なのです。

だから、この場合はfromね!

などと話してしまうのです。

よほどの難関にならないと、あまり漢文が出題されることはないし、それも文学部に限られることも多く、せいぜい共通テストの漢文くらいとはいえ、楽しむ気になればいろんな要素があるのです。
私は、大学受験指導をさせていただいているおかげで、いろんな文章と出会わせてもらってきました。

特に、予備校勤務になった、本当に最初の頃に出会った、志怪小説である干宝『捜神記』の中の、愛し合う河間郡の男女の話が大好きです。
ひそかに愛し合っていて結婚を約束していた若い男女がいて、男が戦争に行く間に、女は親の言いつけに逆らったけれどやむなく別の男のところに嫁に行くのです。心労から女は亡くなり、埋葬されます。その間のやり取りを、わたくし女優真弓が、どういうものだったかを想像して、

こう、言わはったんと違うかなあ・・・?

などと娘と両親のやり取りや、嫁に行く先を、

財産かあったかもしれんねえ・・・。

と語り、挙句の果てには、

実家の人からしたら、早う嫁に出さな、嫁き遅れてもらい先がなくなって、ずっと家におられても・・・、という発想やったかもしれんしねえ。

と話すのです。泣く泣く嫁に行かされた彼女の気持ちはよくわかるような・・・?

さてさて、戦争から帰って来て、男は、彼女の実家を訪ねます。
事情を知った男は、女が埋葬されている墓地まで行き、

お前、なんで死んでしまったんや~!

と泣き叫ぶのです(一部櫻井の脚色あり。)。

彼女への愛が溢れ出てきて、思わず墓を暴きます。
棺桶の中の彼女はかすかに息をしています。
そこで彼女を連れ帰って、世話をすると、蘇活す、とあるように、蘇ったのです。

ところが、元夫が、それを聞きつけて、

嫁を返せ!

とやってきます。

困り果てて、なんと裁判所に訴えるのです。

おそらくは、当地で言うなら、富山地裁を経て、名古屋高裁、とうとう最高裁までいくかのように、秘書郎である王導が武帝に言うのです(つまりは朝廷にまで話が進んだということです。)。

王導が言うには、天が、男(元カレ)の誠意を感じて、元カレのために生き返らせたのです。これは普通のことではありません。普通に裁いてはいけません。お願いですから、墓を暴いた者(元カレ)に返してください!

と。

いやいやいやいや、ときに法律の世界で、女は物ですかー!?というような話がありますが、古文の世界にも、上手に歌を読めたから、無罪釈放!というような話もありますが、なんともまあ・・・。

この話、志怪小説、つまりは怪奇現象を志すというところのジャンルなのですが、この怪異現象を裁判で裁くとは・・・。

と言いながら、元カレの執念と、二人の愛は・・・。

この作品が大好きですが、かつて富山市のある本屋さんに、中国文学の全集が合ったのです。たまに訪れては、まだある・・・、と思っていたのですが、しばらく(これも数年。)行かなかったうちに、その全集はなくなっていました。
大和の紀伊国屋さんに同じシリーズがあったこともあったのですが、この中には含まれていなかったのです。
ネットで探しましたが、もう絶版のようです。中古でないかなあ・・・。

訳されたものしかなくて、原文と書き下し文と訳があるものがないのです。
確か5,600円だったと思います。
超絶専門ではない漢文の本にそれだけのお金をかけることができず・・・。

ああ、ああ、無理してでも買っておけばよかった!

と思う自分と、

買わなくて済んだ!

と思う自分がいます。

漢文の世界へようこそ!

公開:2025/10/13 最終更新:2025/10/13
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