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男女の関係性?―実力テストの古典『平家物語』より

ある高校の実力テストで出題された古文の復習のための指導をしていて、考えさせられた。

葵の前のお話。
高倉天皇、つまりは平徳子が正妻である天皇が、徳子付きの女房の召使の若い女性を好きになって、それも身分差も関係なく、かりそめではなく二人は愛し合う。でも、その関係が世間にまで噂されるようになって、天皇は、彼女を遠ざける。天皇の立場でそのような身分差のある愛は許されないだろうし、また、一方徳子が平家の人間であり、当然、葵の前への影響を考えてのことだったのかもしれない。実在するかどうかはわからない葵の前ではあるけれど、美しく、気立ての良い女性だったのだろう。
思い悩んだ高倉天皇に、側近が、「私の養女にするからお呼びなさいませ。」と言っても、聞こうとしない高倉天皇。平兼盛の昔の歌に自分の想いを託す。嫌いになったわけではないのに引き離された葵の前は、天皇の想いを知って、悩み深くして数日後に亡くなってしまう。

私には、この二人が繊細で、とても誠実に思われる。
天皇だから、好きな人と結ばれるのは当然だけれど、でも、自分の想いを抑えようとせず、周りの人からわからないように、少なくともはっきりと目に見えるようなあり方をして、いつも困るのは女性である。
高倉天皇には好感をもてるけれど(少なくともこの物語の中では。)、現実にこういうことがあった場合、絶対に損をするのは女性である。
だいたい男性がはっきりとわかるようなことをするから、周りとの人間関係に悩むのは女性である。
けじめのある人が私は好きである。
お互いに好意がることぐらい感じるだろうから・・・。

でも、はっきりと目に見える形になってしまったら、困らせられるのは女性。
女性は、気に入っている男性を怒るのではなしに、気に入られた女性を怒る傾向があるような気がする。

なんとはなく、秘められた想いにこそ美しさはある、だなんて、幼すぎるかなあ。
けじめのある日本男児が好きだし、好きな気持ちを一生懸命耐え抜くのも愛だと思う。

関西人的、「ファンです!」みたいなのはOKかもしれないけれど。

だから、私は、『源氏物語』の源氏は情けないやっちゃなあー、と思うけど、藤壺や空蝉は、カッコいい!と思うのである。
自分の身に起こったことにきっちり責任を取っているから・・・。

すみません。
文学作品の中のことに、きっちり責任を取る、だなんて表現して・・・。
そうことが簡単にいかないから、文学作品は面白いのであって・・・。

公開:2020/09/09 最終更新:2020/09/21
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