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教師が絶対合格!と思わされるとき

数年前、お父様がお医者様、という生徒さんを受け持たせていただいた。別にそれまでもたくさん持たせていただいたけれど、どうして心に残っているか?というとお父様のお気持ちがしっかりと伝わってきたからである。

同僚の紹介で、家庭教師として伺わせていただいた。
国語の先生は、そう多くはないから、こういう話はよくある。
どこかに話しておけば、国語は・・・、という感じで、お話が来る。
まだ、教室も始めたばかりだったから、今思えば時間があったのだなあ、と感心する。
(そう言えば、昨年まで大学まで出講していたのだけど、結構大変だったなあ・・・。いい刺激になってたけど・・・。)

初めての面談で、お父様の、「サラリーマンになって、リストラされたら嫌やねえ。」という言葉が響いたのである。

かつて、掛かりつけの先生と、お目に掛かって、ずいぶん経ってから、「仕事を始めようと思います。」とそれとなく話していて、その次に行ったとき、「お仕事を始めるって、どんな?」と言われて、「高校の非常勤講師です。」と言ったときの、あの、おかしな沈黙を忘れはしない。
ずいぶんときが立ってから(ずいぶんなような気がした。)、「貴女(私は、実は、この、貴女、が得意ではなかったけど。)、教員免許、もってるの?」と言われて、今までとは違うモードで言ってしまった。「免許も何も、私はもともと教師です!」
「それにしても免許がなければ・・・。」と言われて、
「免許なんて紙切れ一枚ですから・・・。」と憎たらしい口を利いてしまっていた。
何気に、この方は、関西弁?のようで、なんか、関西弁に気を許してしまうときがある・・・。フェイントやん!

それから、先生の前での私は、おそらく豹変を繰り返していたのだと思う。
何度、沈黙があり、何度か、新たに始めようとすることを止められ、呆れられ、時間が経つごとに受け入れられ、一つも言うことを聞かず、反抗的な態度を何度も取り、挙句に、「僕がなんか言うたら、プンッと怒って診察室出て行く患者さん・・・。」と評され、決してほかの人にはしないことをたくさんしてきて、ただ、開業する、ということについてだけは、なぜか、「それは僕は怒らんよ。」と言われ、なんで一つ一つこの人に許可もらってるのん?と思いながら、なぜか先生の許可をいただこうとする自分がいる。けど、今回、心に決めていることを言ったら怒るだろうから、これは事後報告にしておこう・・・、とひそかに企んでいることがある。なんか怒りどころは、なあんとなくわかるような・・・。なんで?と言われたら表現できないけども・・・。
「貴女、そんなことして、また、混乱せんかなあー。」と言われそうで・・・。ただでさえ、感受性が強すぎて・・・、と言われたりしてきたし・・・。最近はかなり落ち着いている、と自分でも思っているし、まあ、おみやげの一つでも渡して、私の行動力がどんなものかわかっていただけたら、それでいいと思うんだけど・・・。通販で買ったことにする、とか、内緒にしておいてもいいわけで・・・。

脱線も脱線。
過去に決別し、新たに出会い直しに行ってこようと思っているのである。
かつてとは全く違う自分として・・・。

免許について、である。
免許に敏感なご職業だと思う。
私は、今、別に免許がなくてもよい仕事をしているので、わからないけど。
先ほどの保護者の先生は、免許がない生活を恐れていらっしゃるように思えた。
生徒さんも、同じことを言っていた。
「免許があったら、どこでも生きていけるから。」と。

なるほどなあ、と納得したのである。
簡単な言葉だったけれど、この子を何とか一人前に、という気持ちが伝わってきたのである。
だから、何としてでも合格させたい、と教師自身が思わされたときは強い。

一浪している母子家庭の子がいた。あれこれ聞いていたら、今年、合格させなければ後がない、と思い詰めて、国語で何とか合格、ということもあった。
この子、私立高校にやらせるわけにはいかないな、と思って、とにかく県立にだけ合格させなければ、と思ったこともあったし、中退した生徒さんを何とか大学生にしたことも、もう何年も浪人しているけど、受験に行くことすらできない、という生徒さんをなんとか大学生に、というときもあった。
今は、素敵な元野球青年だった、娘さん想いのお若いお父様のお気持ちに共感してしまっている。
年下の可愛いお母さまに共感するのは、言うもさらなり・・・。
こちらは一緒にカフェに行ったり、ランチもあり・・・。
ときにはお友だちのお子さんが生徒さんになるときもあり・・・。
よく、お母さま方には、というより、女友達からは、お子様扱いされて、それこそ、「あなたは何が食べたいの?」と言われて、結構甘えていたりして・・・。保護者も多く・・・。

何がいちばん大きいか?というと、親御さんのお子さんを想う想いが伝わってきて、なんとも共感してしまうときである。
職業も何も関係ない。
ただただ、お子さんを想う気持ちが伝わってきたとき、どうしようもなく走ってしまう自分がいる。

今、一階で、Uが指導している。
なんとか現役で、国立に入ってほしい、と思ってきた。
まさか、私に都合よく、北陸に残ってくれることになるなんて・・・。
昨年、「あのUさんですか!?」とよく下級生から言われていたらしいU。
つまりは櫻井のお気に入り。
結婚相手にいいよー、とあちこちでお勧めしている。
誠実で、ちょっとナイトなところのあるU。
ちょっとは大学生らしく遊べばいいのになあ、とお勧めしているくらい、真面目。
かつて、Uが、私の信頼篤く、Uならわかっているだろう・・・、ということで、点数を引かなかったとき(私は閻魔帳を持ってはいないのですが・・・。)、「U採点」という言葉ができ、Uも調子に乗って、「俺、女の子なんで・・・。」と言うから、何のことかと思っていたら、要するに、「女の子ほど、大事に扱われている」ということらしかった。

つまりは女の子贔屓がひどいらしい・・・。
だって、可愛いも~ん!

公開:2019/08/15 最終更新:2019/08/15
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